今から10年ほど前のこと。
当時3歳の息子が「タガメ」に夢中になっていて
本物のタガメを探そうと、近所の田んぼを探し歩いていた時期がありました。
下町育ちの私は、虫なんてダンゴムシと蟻くらいしか知らないので
タガメの怖さも卵の気持ち悪さも知らぬまま、
3歳児と同じレベルの知識と好奇心で一緒になって探していました。
散々聞いてまわってもタガメはおらず
土畔の田んぼならまだいるかもね〜
と農家さんに言われたのを最後に、
タガメ捜索は幕を閉じたのでした。
その時、私の中で「土畔」のキーワードが記憶に残ったのでした。
虫さんがすめるような田んぼ、やろうね!
タガメがいない現実を知ってそう言った
小さな長男の目と言葉が、
あまりにもキラキラして見えたものだから
本人がそのセリフを忘れた後もなお
私の中でその夢は、ずっと続いていたのでした。
「土畔の田んぼをやる」
これは、幼い息子と見た夢だったけど、
いつしか私の夢になっていたのです。
だから、今回ご縁があった田んぼで初めて土畔を見た時は、
あまりにも嬉しくて、隣にいない当時の長男に伝えたい興奮を覚えたほどでした。
10年越しに見つけた土畔の田んぼ
今、古代米の栽培を始めたこの田んぼは、
先人たちが、昆虫たちのために
一度コンクリートになった畔を
わざわざ土木工事をして土畔に戻して
無農薬を貫く田んぼなのです。
だから絶滅危惧種がまだ棲んでいるのです。
田んぼで卵から孵った虫たちが
土畔を登って地上に巣立てるように
大の大人たちが、汗水垂らして
工夫を凝らして維持している畔だから、
私も喜んでその意志を継いで畔補修をします。
イノシシがすぐに崩すし
力仕事は息が上がるけど
この作業の先にある世界が見たいから
手足を動かして関われることが嬉しくて仕方ないのです。
もう中学生になった息子は
土畔だ、昆虫だと言っても、
昔のように興奮してくれる年齢ではないけれど
それでも、興味は持って聞いてきます。
過去の自分たちと一緒に作業をしているような錯覚を覚えて、
一人じゃない気がして力が湧いてくるのです。
先人たちが大切に守ってきた田んぼと
今を生きる私たちと、
縦と横の糸をしっかり結びながら、
人の想いも土に込めて耕すような古代米作りが始まりました。
来週はいよいよ田おこしです。



